お客様のメリット
- 熱水の少ない地点でも採熱でき、地熱発電の適用可能範囲が拡がります。
- 温泉など周辺環境への影響を低減できます
- CO2の地中固定化によりカーボンニュートラルへの貢献が期待できます。
技術の特徴
従来の地熱発電は、地熱地域に深度1~2kmの井戸を掘削し、地中(地熱貯留層)で温められた「熱水(蒸気を含む)」を採り出して、発電します。地熱発電は昼夜を問わず安定した発電が可能であり、ベースロード電源となり得る再生可能エネルギーとされています。しかし、熱があっても熱水量が不十分なために事業化に至らない場合もあり、熱水量に依存しない新しい地熱発電技術が求められています。本技術は、上記の課題に対して以下の特徴による解決を目指します。
熱水の代わりにCO2を利用
工場等から排出されるCO2を、井戸を通じて地熱貯留層に圧入し、高温になったCO2を別に設けた井戸から採り出し、タービンを回転させて発電します。発電に利用したCO2は、冷却塔などを経由して常温まで低下させて再び地中に圧入されます。このような一連のCO2のループを作ることで、熱水量に依存しない地熱発電が可能になります。また、地熱貯留層に圧入されたCO2は、高温高圧条件のため、液体と気体の両方の特徴(低粘性、高密度)を持つ超臨界状態となります。その結果、水と同等もしくはそれ以上の効率で採熱できる可能性があります。
CO2の一部を地中に固定化
地熱貯留層に圧入したCO2は全て回収されることはなく、地層中に残留します。その一部は、地熱貯留層の高温高圧条件の化学反応により、炭酸塩鉱物として固定されると考えられています。すなわち、本技術は、二酸化炭素回収・貯留(CCS:Carbon dioxide Capture and Storage)と地熱発電を組み合わせた技術であり、実用化すれば、脱炭素社会の実現に大きく貢献することができます。
CO2地熱発電技術の概念図